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ニューヨーク
現地リポート

2021年全米オープンと
ニューヨーク市街の様子を、
現地観戦を通じてみなさまにお届けします。

VOL.04

【ニューヨーク在住ライター現地コラム】

2年ぶりに観客迎えた全米オープンテニス ニューヨークの街や会場の様子は?

 ニューヨーカーにとって、プロスポーツ観戦は日常の一部といえる気軽なもの。その中で、世界中のトッププレーヤーが集まる華やかさがありながら、一枚のチケットでたくさんの試合を観戦でき、観客に混じって会場を移動する選手と遭遇する機会もある全米オープンテニスはアミューズメントパークのような楽しさがある特別なものでした。

初日はファン5万人以上が訪れました

大会プログラム(20ドル)を販売するスタンド

会場移動中に人気急上昇中のエマ・ラドゥカヌ選手(イギリス)と遭遇(9月2日撮影)

マンハッタンの街の変化

 以前ならば、大会期間中にマンハッタンの街中を歩いているだけで選手に、例えばロジャー・フェデラー選手が開発に関わっているシューズを扱うショップを訪れる場面に出くわす、なんてこともありました。しかし、昨年の大会は新型コロナウイルス感染拡大対策として、外部接触を遮断する「バブル」環境、試合も無観客で行われたため、当然そんな機会は皆無。今年、選手とスタッフはマンハッタン・ミッドタウンにある二つの公認ホテルでの滞在を推奨されてはいますが、ある程度の自由が与えられています。写真を撮るために訪れたInterContinental New York Barclayではセレナ・ウィリアムズ選手らのコーチとして知られるパトリック・ムラトグルーが路上でインタビューを受けている姿を見掛けました。そんな何気ない様子に全米オープンテニスが戻ってきたことを実感します。

InterContinental New York Barclayは1926年に鉄道と海運業で巨万の富を築いたヴァンダービルト家が建てたホテル

The Lexington Hotelは1929年の創業で、女優のマリリン・モンローとヤンキースの選手だったジョー・ディマジオが新婚生活を送ったことで知られるホテル

 このホテルの近くに、「レストラン日本」があります。ニューヨークでの日本料理店の先駆者、倉岡伸欣氏(故人)による創業から半世紀を超える老舗で、著名な政治家、芸能人、スポーツ選手もひいきにしています。大会期間中には世界各国のテニス選手が訪れることでも知られ、日本人選手では伊達公子さん、松岡修造さんといった往年の名選手から、「ニューヨークで一番好きな場所」と公言する錦織圭選手はじめ現役選手にもファンが多くいます。選手たちを長年見守ってきた同店副社長で総支配人の馬越恭弘さんは、「倉岡の時代から受け継ぐ、我々は『黒子に徹する』という方針が、皆さんが心を開いて、安心できる雰囲気を作っているのかなと思います」と話してくれました。

レストラン日本の店内。個室もあるのでゆっくりできる

同店副社長で総支配人の馬越さん。額はノバク・ジョコビッチ選手が、2018年に亡くなった創業者の倉岡氏に向けて書いた追悼文

 コロナ禍のニューヨーク市内では飲食店の営業はかなり制限され、閉業した店もたくさんあります。レストラン日本も、44年間支えてきた馬越さんが、「これまで乗り越えてきたこととは次元の違う」というほどの苦難を味わいました。そんな状況の中、2020年5月に存続をかけて行ったクラウドファンディングでは、地元コミュニティーに加え、多くのテニス選手からの支援もあったそうです。そこからも絆の強さを感じます。

 ここでは和食はもちろん、世界中のテニス選手たちに人気があるのはプライムリブ肉をぜいたくに使い、和風ドレッシングでいただく「ビーフサラダ」。また、1980年代に一人海外を転戦していた岡本久美子さんに渡して以来、おむすびに焼き魚、卵焼きなどを添えた特製の弁当を、訪れた日本人選手に土産として持たせているそうです。

選手たちの好物、「ビーフサラダ」(アペタイザー20ドル、メイン35ドル)

クイーンズの会場の変化

 会場となるUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターは、公認ホテルのあるマンハッタンの中心部から車で約20分、地下鉄(7ライン)で約40分のクイーンズ・フラッシングメドウズ・パークにあります。開催直前に全入場者にワクチン接種証明の提示を求める措置が発表されたため、初日は明らかに確認作業に手間取っている様子で、長蛇の列ができる混乱はありましたが、それでもこの日は53,783人以上が訪れて賑わいました。

列は入り口から400メートルほど離れた地下鉄駅まで届き、折り返していました。午後にはワクチン証明証確認のチェックポイントの場所が変更されスムーズに入場できるように改善がされていました


初日の会場の様子

 今回、市内の様子の他に大会の名物のカクテルとフードを紹介してほしいというリクエストを受けました。カクテルは名物の「Honey Deuce」がありますが、フードの名物はあるのか知らなかったので、会場を移動中のボランティア、カレンさんを捕まえ質問してみました。「そういわれると…、名物ってあるのかな」。明らかに困惑した表情を浮かべたので、「食べておいしかったものは?」と質問を変えると、弾けるような笑顔を見せながら、「ボランティア仲間と食べた魚はおいしかったよ」と教えてくれました。早速フードビレッジに赴くと、食事中のボランティア3人組(1人は魚のフライを食べていました)を発見したので、ここでも聞くと、「そこだよ」と教えてくれたのがFish Shack。実はメニューを見る限り、推しは「Lobster & Shrimp Salad」のようでしたが、ここはカレンさんを信じて、魚(たらフライ)のサンドイッチ「Crispy Cod Sandwich」を「名物」として食べることに。タルタルソースをかけて食べるサクサクのフライが絶品でした。

フードビレッジの様子

「クリスピー・コッド・サンドイッチ」(15ドル)。Fish Shackはテレビ番組「Iron Chef America」出演者で、マンハッタンにも店を構えるシェフ、デービッド・バークの店。飲み物はお土産カップ付きの「US Open Souvenir Soda」(9ドル)

短い移動時間の間にさくっと食べたいときは、あまり列ができていないスタンド裏の店がおすすめ。こちらは12コートの裏にあるFranks & Friesから「Grilled Italian Sausage Hero 」(11ドル)

 もう一つのお目当て、名物カクテルの「Honey Deuce」はレストランや会場の至るところにあるスタンドで注文できます。カクテルを作っているディアラさんに聞いたところ、初日の昼すぎの時点で、「かなりたくさん作ったわ」とのこと。

高級ウォッカブランド、Gray Gooseのウォッカにラズベリーリキュールとレモネードを加え、テニスボールを模したハニーデューメロンを飾るカクテルは、爽やかな飲み口でピンクとグリーンの色合いがかわいらしい(20ドル+チップ20%)

カップには歴代の男女シングルスの優勝者の名前が書かれているので、その年にしか手に入らない貴重なお土産になる

会場内にあるバーではほとんどの人がHoney Deuceを飲んでいる

 そう言われると、たしかに開場間もないのに、かなり多くの人がHoney Deuce片手に移動している姿が目につきました。その中でとりわけ楽しそうに話していた男女4人組に、「写真を撮ってもいいか」と声を掛けました。すると、そのうちの一人が「今日は会社さぼって来ているから、僕は写さないでくれ」と言って、Honey Deuceで顔を隠す姿に一同は大爆笑。

 そんな様子を見ながら、ニューヨーカーにとって、テニスファンにとっても特別な全米オープンが戻ってきたんだなと、喜びを改めて噛み締めました。

田中真太郎

田中真太郎

ニューヨーク・ブルックリン在住。フリージャーナリスト、編集者、ライター。サンフランシスコの新聞社とニューヨークの情報誌で編集長を務め、2019年4月からフリー。文化、スポーツ、ビジネスなど幅広いジャンルでの取材経験を持つ。フリー転向後はテレビレポーター、メディアコンテンツクリエーター、ポッドキャスターとしても活動。

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